押し出し(続き)

By , 2014年1月17日 (金) 08:19:43

iriya4.blend

うちの学生のなかにも、 ごく一部は小学生の頃から metasequoia を使っているという学生もいて (metasequoia率の高さには驚くべきものがある。2000年以来、blenderが普及してくるまで、安価に手に入る完全日本語の3DCGソフトは他に選択肢がなかったのだろう)、 そういう学生が提出してくる演習課題というのは参考になる。 キャラクターモデリング一つにとっても人によってやり方は全然違う。 clip studio のサンプルのモデルでもやはりそれぞれ作り方が違う。

髪の毛を押し出しで作るという話をして、 それを organic extrusion でやってみたということを前回書いたが、 普通の extrusion と organic extrusion は実質的には同じものだ。 押し出したあとに角度や大きさや位置を微調整する。 それを organic extrusion だと感覚的にできるということはあるのだが、 まったく微調整なしに organic extrusion するのは不可能なので、 結局普通に押し出しするのと大差ない、ということになる。

今回もらった髪の毛のデータは何層にもなっていて、 非常に複雑なので一度にウェイトを塗れない。 幸いにしてオブジェクトは統合される前だったから、 一つずつ塗っていけば塗れたのである。

髪の毛のふさは三角形を押し出して作っていったのだろうと思う。 それをたぶんコピペしたりミラーしたりして増やし、 さらに手を加えて少しランダムにしている。 頭頂部にはおそらく球面の一部を使い、ふさを適当に張り合わせているのだろう。

こういう髪の毛はたぶん私は作らない。 結んでいくつかのふさになっているのならまだしもこのようにスカート状につながったものはボーンの入れ方がとても難しい。 もちろんスカートも難しい。 長ければ長いほどに難しい。

source sdk のモデル、たとえば alyx や mossman にしても、 髪の毛は短い。 ゲームの中で自由に動かすモデルの髪型は簡単な方がいいからだと思う。 少なくともプログラマーはいやがるだろう、 長髪でなきゃならない必然性は何かと。

しかし日本のゲームの場合、女性のキャラの髪の毛は長くてひらひらしなくてはならない。 それが暗黙の了解であり、最優先事項であり、常識以前の常識だからだ。 スカートや羽根もひらひらしなくてはならない。 初音ミクもそうだしとにかくありとあらゆる女性キャラは、 あまり重要ではない引き立て役のサブキャラにたまたま短髪の娘がいるくらいで、 だいたいは長髪。

長髪にするにはボーンを入れなくてはならない。 スカートにも。 余計なボーンがいる。 ここらのひらひらにボーンを入れるのは物理演算で自動的にひらひら動かすためであり、その時肩や背中や足などにめり込まないようにするためである。 だが、私がやってみたところ、この方法は万能ではない。 極端な動きをさせると破綻する。

日本のゲーム(たとえばRPG)のキャラが必ずしも複雑な動きをしないのは、 ひらひらが破綻しないためだろうと思わざるを得ない。 もしトゥームレイダーのLaraやハーフライフ2のAlyxのような複雑で激しい動きをさせようと思うならば、必然的に女性のキャラでも短髪(せいぜい肩に届かない程度のポニーテイル)にせざるを得ないだろう。

ところがモデリングしてボーンいれてぐりぐり動くところまで作るということは、 学生は苦手だ。 キャラクターモデリングさせるとすぐに髪の毛やスカートや羽根を作りたがる。 その方が派手で見栄えするからだ。 UV展開しにくいから複雑な形はやめなさいといっていてもやるやつはやる。

羽根というのはポリゴンを薄く張り合わせたものなのだが、 複数のウェイトをかけて変形させるとすぐにポリゴンが折れてめりこんで裏表が反転してしまう。これはまずい。

アニメーターには常識かもしれないが、 長い髪のキャラは動かしにくいものである。 ハイジやアルムおじさんの髪は古い絵本ではもっと長くてもじゃもじゃの癖毛だったんだけど、 アニメで動かすのが面倒なので短髪にしたのだろう。 そういう例はほかにもいっぱいあると思う。 サツキやメイ、ナウシカ、サン、ナディア、みんなそうだ。 キャラデザの人がそういう趣味なのではなく、 実現可能な工程的には、そういう設定にせざるを得なかったのだと思う、 特にメインキャラの場合(綾波が短髪でアスカやミサトが長髪なのはそのためではなかろうか)。 3DCGでもそうだ。 実現が事実上不可能なモデルにしてはならない。

私としてはともかく、動かしやすいキャラを一度最後まで通して作ってもらいたい。 それから顔の表情のアニメーション。 これも重要。 顔が動き、体が指の一本一本まで動き、モーションデータを流し込めば破綻なく動くようなキャラクターを作れるようにする。 これがなかなか難しい。 逆の言い方をするとボーンがささってないお人形さんやロボットのようなものなら素人でも作れる。 モーションキャプチャデータでなく適当に手付けしたアニメーションに耐えうるモデルであれば、たぶん作れる。 100人受講生がいれば99人まではそこで終わらなくてはならない。

何年もやってりゃそのうち作れるようになるかもしれない。 私の場合 lightwaveやり始めたのが1998年。 3dsmax は 2002年から。 source sdk + softimage は 2006年かもっとあと。 maya と blender は 2013年からだ。 3Dが作れるようになるにはそうとう時間がかかる。 作れるようになってみると案外楽なものかしもれない。 3ヶ月かかっていた(或いは3ヶ月かけても完成しなかった)ものが1日で作れるようになる。 だがそれを4年間の学部のカリキュラムにどのように当てはめていけば良いのだ?

MMDで長いツインテールの初音ミクが踊っているのがあるけど、あれもまあだいたいは適当で、速い動きやカメラワークでごまかしているが、よくみると大したことはない。

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